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恋かもしれない35題 09「手を伸ばす」

2011.12.16 20:56|お題
しばらく「書けない書けない」とわめいていましたが、なんとか何作品か書けましたので更新しようと思います。
一気に更新しようか、それとも予約投稿しようか悶々としているのですが…出し渋る作品でも無いし(笑)
なので、鬼更新スタートします(^^)
つまりは、極端なんです。

…コメント返信、拍手返信は少し待ってください…。



また次の更新まで開いてしまうかとは思うのですが、それは笑って許してくださいね~w




*  *  *



するりと指が肌を滑っていく。

あぅ、と小さな声が彼女の口からこぼれおちる。
彼の腕をぎゅっと握りしめる。

「白いな」

彼女は目をきつく閉じる。
じっと襲ってくる快感に堪える。

触れた身体はとても熱いのに、何故か彼女はいつか見た雪空を思い浮かべた。
彼が「白」というキーワードを言ったからだろうか。












ちらほら。
ちらほら。

白い雪が空から落ちて。
そっと手を伸ばして、その掌に落ちたその白い雪が溶けて行くのを見つめて。
はぁっと息を吐けば、白く光り。

―――琴子。
呼ばれて彼女は振り返る。

彼女を呼ぶ、声。
大きく手を振って、こっち、と笑っていた。

彼女はそれに応えたくて。
手を伸ばす。


手を伸ばす。

それなのに、いつも―――その手は届かない。














「…どうした?」

彼の長くて綺麗な指が、彼女の唇をそっとなぞった。
彼女はそうっと目を開いて、頬を染めて、にこりと笑う。

「何でもない」

即答して、それから彼女は手を伸ばす。
彼の首に回して、ぐいっと引き寄せる。

彼は少し驚いた顔をしたけれど、すぐにふっと笑う。
本日何度目になるかわからないキス。
甘くて甘くて、彼女の夢たっぷりのキス。

「えへへ、入江くんが誉めてくれた」
「何を?」
「あたしちゃんと聞いてたんだよ、入江くんが『白いな』って言ってくれたの」
「そんなこと言ったっけ?」
「言ったよ!」

むう、と頬を膨らまして彼女は主張する。
何故かこういうことはしっかり把握していたりする。
彼は面倒くさそうに、ばっかじゃねえのと鼻で笑う。

「あたしね、あたしね、色白いってよく言われるんだよ」
「あっそ」
「すべすべ、とかも言われるんだよ」
「誰に」
「うーんと、お義母さんとか」
「ふーん」

興味なさそうに彼は寝がえりを打つ。
彼女はそれでも嬉しそうに続ける。

「これね、たぶんお母さんゆずりなんだ」

えへへ、と彼女は笑う。
彼の背中にぎゅっと頭を押しつけて、頬ずりをする。

「あたしのお母さん、秋田出身だからだと思うの」
「そういうものか?」
「うん。あっちの人はね、雪の色が肌に染み込むの」

そうなんだと彼女は信じ切っている。
彼は特にそれ以上追及することもなく、ふぅんと言った。
彼女が信じたいように信じればいいし、あながち間違いでも無い。
彼女の肌は確かに綺麗だし――いつまでも触れていたいと思わなくもない。

白い肌が染まっていく様を見るのも、好き、だと思う。


「くしゅ、」
「…寒いのか?」
「うっ、ううん…その、入江くんのそばにいるからあったかいよ」

彼からは見えなくても、彼女が赤い頬で俯きがちに言っていることはよくわかった。
何だかおかしくて、彼は再び寝がえりを打つ。
彼女を見るために。

彼女は少し目を丸くして、ふにゃっと笑う。
彼の手が伸ばされて、彼女の頬に触れる。
彼女は伏し目がちに、えへへと舌を出した。

「…溶けちゃいそう」
「なんで」
「幸せで」
「溶けないよ」
「…そうだね」

当り前だよね、と彼女は言う。





幼い時、見たあの白い雪。
こんなにも白が世界を埋め尽くすのかと思った。

綺麗だと思っていつまでも見惚れていた。
寒くて鼻の頭が真っ赤になっていることも忘れて。

自分を呼んで、早く帰ろうと、伸ばされた手。
薄れていた記憶。
差し出された手は、確かに暖かかったはずなのに。
幼かった彼女ははしゃぎながらも、手を伸ばしたはずなのに。




「…入江くん」

彼女は手を伸ばす。
すぐに彼に届く。
その肌に触れて、熱を感じて、それだけで彼女は泣き出しそうになる。

本当に溶けてしまいそうだった。
今溶けてしまっても、きっとそれでも幸せだと言えるだろう。

―――それでも溶けるわけにはいかない。
まだ始まったばかりなのだから。

「…離れないからね」

ぎゅっと抱きしめて、彼女は言った。

「頼まれなくたって、ずっとそばにいるからね」
「知ってるよ」

手を伸ばして、届く距離に彼がいてくれること。
その熱を彼女に与えてくれること。





瞼の裏に見えた、あの雪景色。
彼女を呼んだ声の主にはもう手が届かない。
まるで雪のように溶けて消えていった、あのぬくもり。



「……どうして、泣く?」

彼女の涙を、彼の指が拭ってくれる。

「しあわせ、だからだよ」



あの時、彼女の掌の上に舞い降りた雪。
それが今、溶けて―――涙となって彼女の瞳からこぼれおちていく。
この場所が暖かすぎるから。

――この場所が幸せすぎるから。


「泣くなよ、ばぁか」


切なくなるくらいの優しい声で、彼が言った。





( あなたの熱がそこにあるだけで あたしの世界は輝いている )










また、似たテイストだわさ(汗
またしてもセンチメンタル琴子ちゃんに逃げてしまった自分。
お題同士でかぶるんですよね…内容が…。

イリコトらしいところと言えば、肌が「すべすべと言われる」と琴子が言って、すぐさま入江くんが「誰が」と聞くところくらいです(笑)
イメージはハワイの初夜ぴろーとーくなんです。その割には甘さより切ないテイストです。







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嘉村のと

Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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