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自業自得(前)

2011.11.02 18:00|短編
予約投稿です。
この話で、書きためたものは全部出しつくしましたよ(何故えばる

このおはなしは長くなったので前後に分けます。
たいしたことないけど、またしても嫉妬な入江くんを目指しつつ…。
やっぱりやっぱり別人になってると思います。
相変わらず懲りずに挑戦してしまう私なのでした…。

*  *  *





「今日は、パパが保育園に連れて行ってくれるよね!」

彼のベッドの上に、ちょこんと琴美が乗っている。

「……あぁ」

少し眠そうな様子で、彼は頷いた。
昨日も何度も何度も約束させられた。
今日は―――母親である琴子は夜勤でまだ帰らない。
そういう時は大抵、紀子が送っていくのだが。

昨日から琴美はずっとこの調子だった。
どうしても彼に今日は送ってほしいらしい。
紀子はそれを了解しているのか、にこにこ笑っていた。
何か企んでいなければいいのだけれど―――。

「約束だよ!ぜったい、ぜーーったい!パパが連れてってよ」
「わかってる」
「うん!」

にっこりと笑って琴美は頷く。
それから元気よく一階へ降りて行った。
あんな強引なところは、母親の強さをよく見ているからだろうか。
彼は肩を叩いてから、起き上がるのだった。













いつも元気ではしゃぎまわる琴美が、黙っている。
とても強い眼差しで前だけを見ていて――それはちょっと凛々しい。
まだ幼い子供ながら、まるで戦いに行くかのよう。

「ねえ、パパ!」
「…なんだ?」
「パパは、すっごく格好良いよねっ!」
「……」
「頭も良いし、とってもすごいお医者さんだし!」
「…急にどうした?」
「いつもそう、ママが言ってるもん」

琴美はきゅっと彼の手を握る。

「だから、誰にも負けないよね」
「…負ける?」
「ねぇ、パパ、これからもこうやって送ってくれる?」
「できる限りは。仕事もあるから毎日は無理だけれど」

少女はこくんと頷いた。

「しばらくママと行きたくない」
「……え?」
「これ、ママには内緒だよ!」
「―――琴美?」
「……」

直樹が少女の顔を覗き込むと、少女はその小さな肩をすくめる。
それから口を尖らせた。

「ママ、この間、ブランコから落っこちたの」
















「おはようございます」
「おはようご……ざいます」

保母が彼を見て、一度息を呑む。
時折見たことがあるけれど、たいてい母親が送ってくる場合が多い。
だからその女性はぽっと頬を染める。

こういうことがあるから、琴子は彼に行かせたがらない。
神経質になりすぎだと彼は思うのだが、必死な彼女にはほとほと折れやすい。

「今日はパパなのね、琴美ちゃん」
「うん!」

琴美はこくんと頷く。
どこか誇らしげだ。

「あーーっ琴美ちゃんが来たーー」
「わーーおはよーー」
「おはよう!」
「おはよーーー…ってあれ」

琴美に気付いてばたばたと駆けつけてくる子供たち。
だけれど、きょろきょろとあたりを見回す。

「あれ、琴美ちゃんのママは?」
「今日はいないの?」
「いないの!今日はパパに送ってきてもらったんだから!」

誇らしげに琴美は言う。
子供たちは彼をじろじろと見上げる。
病院で充分こういう視線に慣れている彼はふっと笑った。

「なんだ、また琴美ちゃんのママが面白いことして笑わせてくれると思ったのに」
「つまんないーー」

ぶうぶうと何故だか不平が出る。
琴美は顔を真っ赤にして、大きな声を出す。

「ママは皆のおもちゃじゃないもん!」

ばたばたと手を振り回しながら、その少年に掴みかかろうとして―――ぱんぱんと手を叩く音が聞こえた。

「こらこら、喧嘩しないの」

ほんわかした雰囲気の保父が現れた。

「まことせんせー」
「おはよう、琴美ちゃん。今日はパパに連れてきてもらったんだね」
「うん、素敵なパパでしょ?」
「あはは、本当だね」
「すっごいお医者さんなんだよ!頭もよくってね、それでね、それで…」
「琴美、やめろ」

恥ずかしいから、と直樹が止める。
少女はそれを少し不満げに見上げると、頬を膨らます。

「琴美の父です。お世話になります」
「いえいえ」

保父はぺこりと頭を下げる。
表情はにこやかで、典型的な好青年だった。

「まこと先生!これが琴美のパパだからね」
「はいはい」
「わかった?」
「わかったよ」
「わかればよろしい!」

誇らしげに琴美は頷くと、直樹に手を振って子供たちの輪に入っていく。

「自慢のお父さんっていつも言ってますよ琴美ちゃん、妬けちゃいますね」
「いえ…」

直樹が軽く謙遜すると、そう言えば、とまことは口を開いた。

「今日は琴子さんはお仕事なんですか?」

あっけらかんとそう尋ねた青年に、彼は一瞬眉をひそめる。
どうしてそんな親しげに名前を呼ぶのか。

「……えぇ、そうです」
「そうですか、良かったです。別に怪我がひどいわけじゃないんですね?」
「怪我?」

あれ、と青年は目を丸くする。

「琴子さん、この間子供たちと遊んでてブランコから落ちたんですよ」
「それは聞きましたが…」
「脚に怪我されたんです。ここは保育園ですからたいした手当てもできませんでしたが―――」
「―――手当て?」

思わず引っかかった。
青年はくすっと笑って、それからその口に手を当てて、今度は苦笑い。

「すみません、つい思いだして。琴子さんって面白いですよね、看護婦さんなのに」






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Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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