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恋かもしれない35題 25 「スコール」

2011.10.25 21:11|お題
高校時代の青い2人です。

青いのが、だんだん楽しくなってきた今日この頃。
昔は書ける気が全くしなかったんですけど。
相変わらず甘さは皆無です。

余談ですが、今読んでる本が陰湿っていうか鬱っていうかそんな感じなんで、テンションあげるのにすごく苦労ww
なら読むなって言われそうですが、あのじめっとした話もなかなか魅力があるんですよねぇ←

 *  *  *




「はあ、疲れた…」

教師に言いつけられた用事が終わった彼女はよたよたと階段を下りていた。
ただでさえ要領がよいとは言えない彼女。
なんであたしばっか、とぶつぶつ言いながらなんとか終わらしてきた。

踊り場で―――大きな窓が見える。

「……うっそぉ…」

たくさんの水滴がついている。
ざあざあと降り注ぐ雨が、窓の外には広がっていた。


足取り重く、階段を下りる。

ついてないなあ、と思う。
そう言えば今朝は寝坊して慌てて出てきたから、そんなこと気に留めなかった。
F組の皆も既に帰宅しており、入れてもらうという選択肢は無い。

走って帰るしかないかな、と彼女は思う。
駅までどれくらいで行けるだろうか。いやいやそう言えば走っても歩いても濡れる量は変わらないといつかテレビで見たなあ。あ、じゃあ歩いていったほうがいいのかな?でもでも堂々と歩いて帰るのはちょっとなかなかどうかと―――。

ぐるぐる考えていると下駄箱の前まで来た、その時。
ぴたりと彼女の足が止まる。

彼女の視界に、最近ではすっかり見慣れた彼の姿が見えたからだった。
もちろん既にA組の授業は終わっている。
だから彼にはここにいる理由は無い。

「、っま、まさか!入江くんも傘忘れたとかっ」

そろそろそろ、と柱の陰から彼を見る。
堂々と行けばいいけれど、もし仮にも、もし仮にも、自分を待っててくれたとしたら。

「あ、あたしも傘持ってないとか言いにくい…いや、入江くんに限ってあたしなんか頼るはずもないよね…」

自問自答しながら、彼女はきょろきょろとあたりを見回す。

「そ、それとも、他に誰か待ってるのかなぁ…」

たとえば、同じクラスのヒトとか―――。

「入江くん」

女性の声がして、琴子ははっとそちらを見る。
直樹は現れた女性と何やら話している。
どうやらA組の子らしい。

その女生徒がカバンの中から折りたたみ傘を差し出した。
琴子は、あ、と思って、思わず目を逸らした。
どんな会話をしているのかは聞こえない。
やたらとその折りたたみ傘が目に入って、彼女の胸をちくちくと刺す。

一緒に帰ろうとか言っているのだろうか。
傘貸してあげるとか言っているのだろうか。
まさか、傘に入れてあげるとか言ってるんだろうか。

彼女の想像力はたくましく、ぐるぐる頭が回っている。
彼が持つ傘の中に入る女性の姿を想像し、彼女はぶんぶん頭を振る。
なんとしてでも阻止しなければならない。

「…そ、そんなの駄目!阻止しなきゃ!そうは魚屋がおろさないんだからっ!」
「それを言うなら問屋だろ。どうしたらそうなるんだよ」
「っきゃああ!い、いいい入江くんっ??」
「ったく、何やってんだよ」

急に目の前に直樹が現れて彼女は大きく後ろにつんのめった。
ばあか、と言いながら彼は腕を組んで立っている。
そこに立つのは彼ひとり。

「な、な…あれ…?」

先程の女性はどこに行ったのだろう。

「なんだお前、何か探してるのか?」
「ち、違うよ、そういうわけじゃ!」
「ふぅん」

まだきょろきょろしている彼女をその場に置いて、彼はすたすたと下駄箱へ向かう。

「おい、まだ帰らないのか」

彼は振り返って、まだその場に立ったままの彼女に言う。

「…え?」

彼はため息をついて、再び彼女の前に近付いてきた。
そして、カバンからそれを取り出して彼女に向ける。
彼女は目の前に差し出されたモノをじっと見つめる。

「入江くん…?」
「どうせ忘れたんだろ、傘」

彼が差し出したのは、折りたたみ傘だった。

「……入江くんのは?」
「俺は持ってきてるから。お前に貸すのは置き傘のほうだ、当り前だろ」
「そっか!そうなんだ!ありがとう!!」
「早く受け取れよ。俺はさっさと帰りたいんだ」

そろそろと手を伸ばした彼女に半ば押しつけるように傘を渡すと、彼は今度こそ下駄箱に行った。
彼女は渡された傘を見る。
さきほどの女生徒の傘ではない。
ほっとした半面―――彼女ははっと気付く。

「えっ、い、入江くん!もしかしてあたしを待っててくれたのっ?」

彼女は駈け出して、下駄箱で慌てて靴を履き、彼に追い付くように走り出す。
ざあざあとひどくなっている雨の中、比較的容易に彼に追い付いた。

「ねっ、ねえ、入江くん」
「お前がびしょぬれで帰ってきて、俺が全然濡れずに帰ったら、家で何言われるかわかんねーし」

彼女は嬉しさでいっぱいになる。
どんなに彼がつれなく彼女をあしらっても、彼女は幸せでいっぱいになる。

「あっ、ありがとう!ありがとう、入江くん!」
「なあ」

ふっと彼が思いついたように、振り返った。

「その傘、違ってて安心した?」
「え?」
「さっきの傘、俺が受け取るとでも思ったのか?お前」
「……え?」
「お前は盗み聞きも覗き見も尾行も絶対向いてないな」

にやりと彼が笑う。
柱の影に隠れていたつもりだったが、どうやら彼にはもろばれだったようだ。
彼女の頬がみるみる赤くなった。

「…わ、わかってたのね!」
「こっちから見たってお前の間抜けな顔よく見えたよ」
「ま、まぬ…」

ぱくぱくと彼女が口を動かして。
彼は相変わらずすたすたと歩いていく。

「―――お前のせいで、何人に声かけられたかわかんねーよ」
「え?」
「俺が傘忘れて待ちぼうけしてるのかと思ったらしいけど」

彼女は時計を見る。
そう、彼はずいぶんあそこで待っていてくれたはずだった。

「……、ごめん…、かなり、待ったよね、あたし遅かったよね…」
「ほんとだよ」
「っ、そこは『そんなことない』っていうとこじゃないの!?」
「謝る立場の人間がそれを言うか?」
「悪かったわねっ、だって入江くんはいつもそうやっていじわるばっかりで―――」

彼の足が止まる。
それにつられて彼女の足も止まる。

「俺に待っててもらえて、すっごく嬉しそうな顔をしたのはどこのどいつだよ?」

勝ち誇った顔で、ふふん、と彼は言った。
彼女はその頬をさらにさらに真っ赤に染めて、目を見開く。

「ば、ばかあっ」

嬉しいに決まってる。
大好きなひとに待っててもらえたのだから。
傘まで貸してもらえたのだから。
図星だから、彼女は恥ずかしくていたたまれず、思わず走りだしてしまった。

ばしゃばしゃと大きな水しぶきを立てながら。

「………っ」
「もう、走るのは止めたのか?」

ぱしゃりと、水溜りの水のおと。
すぐに、彼は彼女に追い付いた。
彼は足を速めたわけじゃない。
彼女が立ち止まったからだった。

「…だって、せっかく、入江くんと帰れるチャンスなのに、走って帰ったらもったいない…」

真っ赤になった顔を伏せて、彼女はぶつぶつとそう言った。
彼はぶっと噴き出す。

「お前ってほんと、バカ」
「もう!言っておくけどあたし、今日遅くなったのは補習じゃないんだからねっ」
「威張るとこ違うし。普通の人間は補習は受けない」
「し、知らない!」
「じゃ、また走れば?」

彼女は彼をちらりと見た。
彼は彼女を見てにやにやと相変わらず笑っていた。
視線がこうやって合うだけで、彼女はどきどきする。
からかわれているだけだとわかっていても、視界に入っているだけでどきどきする。

「……く、靴が濡れると困るから、走らないもん…」

そう答えるのが、その時の彼女の精一杯で。
彼はまた意地悪な笑みで、くすくすと笑っていた。







( いじわる だけど やっぱり 好き )
















入江くんは琴子が傘を持っていないことを何故知っているのかとか。
(実は朝見てた??←なら朝言ってやれよ)
下駄箱とかに置いておけばいいだろ、とか。
(それじゃ心配だった)
そういうところを突っ込んであげて下さい。
この入江くんは青い故に、無自覚、だということで…。


だけど……やっぱりどっかニセモノ…(>_<)


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ちぇるしぃさんへ

わ〜いっwいつもいつもありがとうございます!
仕方ないと言いつつもちゃんと待つ入江くんのもどかしさに萌えてくださって嬉しいです(*^o^*)一緒の傘にいれてあげればいいのに…むふふ←コラ
青い2人は端から見たら「仲良いね」と言いたくなっちゃう具合がかわいいですよねっ(笑)なんだかんだお互いをつつきあう2人が大好きです!(←日本語おかしい)
コメントありがとうございました♪更新のろくてごめんなさい…(;_;)でも暖かい言葉を励みに、これからも頑張りますね〜☆

拍手レスですw

りりぃさんへ
>>パソコンの調子が悪いのにわざわざコメントありがとうございます♪はじめまして☆
意地悪な青い入江くんをお気に召していただいて嬉しいです(^^)
拍手ありがとうございます~。イタズラなんて思ってませんから大丈夫ですよ(^^)またお気軽にどうぞ♪
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Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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