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恋かもしれない35題 14 「オーバーザレインボウ」

2011.10.11 21:58|お題
季節外れですけど、清里ですww

お題ですけど、短め。甘さもなし。でも、こういうの好きなんで、すみません…。
  *  *  *


ざああっと。
曲線を描いて、水が降り注ぐ。

たくさんのひまわりが咲き乱れる、大きな庭。
バイトの彼がホースを持ってあちこちに水をまいている。
彼女はそれを見つめている。


太陽に照らされてきらきら輝いて。

―――虹ができた。



虹だ、と彼女は表情をぱあっと明るくさせる。
こんな小さなことでもわくわくできるのは彼女ならでは。
それを作りだしているのが彼の持ったホースだということでは尚更だ。

だけれど、虹はすぐ消えてしまった。
彼が水を与える場所を変えてしまったためだった。
光の当たる方向が変わったからだった。

彼女は身を乗り出した。
少し自分が動けば――また虹が見えた。
それから少し視線をずらせば、相変わらず無表情で水をかけている彼の姿。
端正なその横顔にほうっと見とれて、そしてまた虹を見る。
彼女にとってその光景はとても幻想的できらきらしていた。


珍しく彼は彼女の存在に気付いていないようだった。
彼女がわからないような難しいことでも考えているのだろうか。
でも今日は彼女は自分に気付いてもらおうとせず、ひたすらその幻想的な光景を身を乗り出して見ていた。

水が降り注ぐ角度が変わるたびに彼女はちょこちょこと前に進んで行った。
ある一定の端まで行ったところで―――それは起きた。

ばしゃん!

「きゃあっ」
「うわっ」

彼が急に振り返ったのだった。
水を端まで掛け終わって、どうやら元の場所に戻ろうとしたらしい。
先程まで誰もいなかった場所にちょうど彼女がいて、そのシャワーを彼女はしっかりと被ってしまった。

「おまっ…なんでこんなところにいるんだよ」

彼女はぷるぷると顔を振った。
それはまるでチビが水を払う姿に似ていて、彼はくすりと笑った。
水滴が舞って、それが太陽に当たって、きらきらと輝いた。
彼女は気まずそうに彼を見上げて、口をとがらせる。

「だって…虹…」
「はあ?」
「…う、ううん、何でもない」

もう大学生なのにホースが作る虹を追いかけて近付いていましたと言うのはさすがの彼女も戸惑った。
触れるはずもないものに―――いつだって彼女は手を伸ばしてしまう。

届かないとわかっているのに。

「また人を勝手に見てたのか?」
「ち、ちがうよ!それだけじゃないもん」

間違ってはいないけれど、と彼女は思ったが、とりあえず否定する。
夏だからそんなに寒くは無い。すぐ乾くだろう。
彼女は顔についた水をごしごしとぬぐった。

「おい、あんまり強くこするな」
「ふえ?」

赤くなるぞ、と言いそうになって彼は口をつぐむ。
その代わり肩にかけていたタオルを彼女の顔に押し当てた。

「えっ?あっ?い、いりえく…」
「使ったのだから悪いけど」
「いえ、…そのぉ…」

まさか彼の使用済みタオルで彼に顔を拭いてもらえるとは。
彼女は違う意味で顔を真っ赤にさせる。
拭き終ると彼は彼女の額を人差し指でぐっと押した。

「わわっ」
「ほら、お前さっさと戻れよ」
「え?」
「風邪引くだろ。着替えろ」
「大丈夫だよ、たいして濡れてないし、夏だし、すぐ乾くよ!」
「……いーから」

彼は少し不機嫌そうに彼女の肩にタオルをかける。
くるりと彼女を反転させ、その背中を強く押した。

「わわっ、入江くん、力強いよっ」

前のめりになりながら、彼女は彼に文句を言おうと振り返る。
既に彼は後ろ姿で他の場所に水をまき始めていた。

――なんか、入江くん、ちょっといつもと違う?

彼女はそんなことを少し思いながらも、言われた通りにペンションへ戻る。
彼のタオルを大事に肩へ掛けながら。

なにはともあれ、心配してくれたのだ。
ほわほわと嬉しい気持ちを抱えて彼女は足取りも軽く進んで行く。

その淡い色のワンピースの下にうっすらピンク色の線が透けていたことは、結局彼女は全く気付かなかったのでした。







( 届かない 伸ばせない )












清里の一コマのつもりで書きました。
季節外れですね…。
自分の将来のこととかをぼんやり考えていた入江くんのつもり。

届かないとわかっているのに、手を伸ばしたくなるもの。

虹には届かないけれど――実は彼には届いていたりするのが琴子ちゃんで。
すぐ届くのに手を伸ばせないのが入江くんです。

自分が何本か文を書くようになって気付いたことは、私は、
「琴子ちゃんが無自覚で何かして、入江くんが内心動揺している様を琴子視点で描く」
というパターンがすごく好きなんだと悟りました。
だってそればっかり…。仕様ですとしか言いようがありません、すみません。




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コメント:

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入江くん、もう独占欲?!

カワイイお話で、ニンマリしました。ありがとうございます。
大学生になっても、虹を追いかける琴子、カワイイですね!
入江くんの無自覚にも、びっしょり濡れても無防備な琴子を、他の人に晒したくない入江くんの姿もカワイイですね!
初々しい二人は、どこから見てもカワイイですね。ふふふ。
次作も楽しみに待っています。

はじめまして。

narack様のサイトで今日、こちらのブログを知り一気に読んでしまいました。narack様同様Yシャツネタがたまりません。
かわいらしい話に心が温かくなりました。これからも楽しみにしています。

ぴくもんさん

たびたびありがとうございます〜(>_<)こちらこそとてもぴくもんさんのあまぁいイリコトを堪能させていただきまして、ありがとうございました♪またしてもうちのブログなんぞに来てくださって…感激です☆
ほんとは両思いなのにすれ違う2人の距離感って素敵ですよね♪すれ違うのは悲しいイメージが多いのにこの2人は何故だかかわいらしくて切なくてちょぴっと甘くて私も大好きです!
楽しんでいただけたみたいで嬉しいです(^w^)
無邪気な琴子とそれに振り回される入江くんの仕様、大丈夫でしょうかw嬉しいです!調子乗って(ネタ尽きるまで)このままこの仕様どんどん増えて行きますがよろしくお願いします(^^)w

REEさんへ

こんばんは!ありがとうございます〜(^w^)初々しい2人はかわいらしいですよねっ♪
入江くんはこっそり独占欲ばりばりで(笑)、それに全く気付かない琴子が好きです(*^^*)この2人の奥手さは見てるこっちがウリウリしたくなるかわいらしさですよねっ☆
コメントありがとうございますっwこれからも頑張りますっ(≧∇≦)こちらこそよろしくお願いします☆

杏子さんへ

はじめまして!こんな僻地にありがとうございます♪
ワイシャツネタおっけぃですかw…どきどき(≧∇≦)嬉しいです♪琴子の無自覚行動に振り回される入江くんがめっさ好きですので(笑)
コメント嬉しいです♪これからも頑張らせていただきますのでよろしくお願いします(^∀^)

ちぇるしぃさんへ

ありがとうございます♪
コメ、大爆笑させていただきました☆
ええ、そうです、シースループレイですよ♪スーパークールガイ(←これいいですね)の入江くんの苦悩と苦労は本当に同情しちゃいますね。こんなに甘くておいしそうな琴子ちゃんを目の前にして何もできないなんて(笑)全然変態発言なんかじゃないですよ!正常です←
いつもありがとうございます~~w
これからもよろしくおねがいします!

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杏子さんへ

またしてもコメント、ありがとうございます♪先日は失礼いたしました…(>_<)暖かい返信ありがとうございますw
「さくらんぼ」は以前どきどきしながら一気に読ませていただきましたっ♪オリキャラの達ちゃんがけっこう好きでした(笑)あのシャイな感じが特に萌えて←
こんな偏狭に来てくださって嬉しいです♪よろしければこれからも是非よろしくお願いしますw
ありがとうございました♪
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嘉村のと

Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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