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恋かもしれない35題 21 「手触り」(29→34→21でお読みください)

2011.09.28 23:10|お題
一応ラスト。
たいしたことありません。
ごめんなさい。
34「届く声」の直後…?です。

これだけが唯一誕生日ネタになっています。



  *  *  *




ぴんぽーん、とインターホンが鳴った。
彼はその音で眠りから覚めた。

ふあ…とあくびしながら彼は玄関に向かう。

「はい、どちらさま」
「えへへ…あたしですぅ」
「……は?」

慌てて彼がドアを開けると、そこには彼女がいた。

「お前、何で」
「えへへぇ…来ちゃった!」
「来ちゃった、じゃないだろ!」

てへと笑う彼女。
彼は時計を確認する。
何時間前に彼女と会話しただろうか。
あのときはまだ彼女は東京にいたはずだった。
来ちゃった、で、東京から神戸まで来るとは―――。

「だってね!入江くん!今日はあたしの誕生日なんだよ!ケーキ買ってきたの!」
「お前…俺は明日も仕事なんだぞ」
「だってだって、少しでも会いたかったんだもん!」

彼女があのとき何かを言いたがっていたのは、これだったのか。
誕生日だからお祝いを言ってほしいとか、それとも神戸に訪ねたいということだったのかもしれない。
彼は頭痛を抱えながらひとまず彼女を部屋にいれる。

「わー久々♪入江くんのへやーへやー」
「お前いつ帰るの?」
「もう!来てすぐそんなこと聞かないでよ!本当は1週間くらいいたかったんだけど、明後日どうしても外せない授業があるから明日に帰るよ」
「そうか」
「えへへっ」

彼女はケーキの箱をテーブルの上に置いて、それから彼にぎゅっと抱きついた。

「久しぶりっ」
「さっき電話しただろ」
「窓の外見た?」
「…ああ、見たよ」
「ふふっ」

得意げに彼女は笑う。
何となく彼はつまらない気持ちになる。

「曇って何も見えなかった」
「えぇええ~~~」

そっか、東京とこっちじゃ天気が違うんだった、と彼女はうんうん頭を抱えている。
そういう彼女を見て彼はようやくふっと笑った。

「琴子」
「うん?」

彼女が顔を上げる。
その額にそっと唇を落とす。
彼女の頬がほんのり染まって、そして彼の好きなあの笑顔を浮かべる。

「入江くん、あのね、あのね―――」

彼女の頬に手を添えて顔を近付ける。
彼女が言いたいだろう言葉も、彼に言ってほしいだろう言葉も、全て飲み込むようなキス。

あふ、と彼女の唇から声がこぼれる。
どちらかともなくその場に座り込んで、それから倒れ込んで。

「待、…ケーキがいたんじゃう…」
「だいぶ涼しくなったからしばらく大丈夫だろ」
「…ん」

うっとりと彼女は彼を見上げる。
まだ上着も脱いでいないその姿に、彼は自分がいかに物事を性急に進めようとしたかをありありと理解する。
だけど彼女はそんなこと全く無頓着で恥ずかしそうに微笑む。

手を絡ませて、彼女は言った。

「あたしは入江くんの味方だよ」
「知ってる、全く頼りにならないけど」
「だけど、入江くんの役になかなか立てなくてごめんね」
「期待してないからいいよ」
「もう!あたし本当にそう思ってるのに!」

ぷくっと頬を膨らます。
彼はその頬を指でつつくと、ぷ、と音が鳴った。
くくくっと彼は笑い、彼女は真っ赤になる。

「い、入江くんのばか!」
「お前に言われる筋合いはねーよ」
「あたしずっと考えてたんだからね」

彼女は涙目になりながら抗議する。

「入江くんが悩んでいても、あたしは何にもできないんだもん!本当はもっともっと話してほしいよ!何もできなくても力になりたいだもん」

余計なお世話だと知っていても。

「…ばぁか」

ぎゅ、と握った手に力を込める。
頬を寄せて、頬ずりをして。

まるで、失われた半身みたいだと思う。
彼女といると本当に不思議で、どこかわからない暖かいものが補われる。

心の中にそんな暖かい気持ちが溢れている。
なあ―――これはどこからやってくるんだと思う?
彼女と一緒にいるようになってから、いつも彼はそれを疑問に思う。

その柔らかさに、その甘さに、くらくらする。

「入江くん…?」

彼女が彼の名前を呼んだ。

あの真っ赤な空も。
記憶のなか笑っていた彼女も。
受話器越しの必死な彼女も、確かに同じような気持ちを与えてくれるけれど。

どうしてだろう。
目の前に彼女がいるというだけで、こんなにも、自分が自分ではないような。


「―――…今日はサービスさせてもらうから」


誕生日だもんな、と柔らかな彼女の肌にそっと触れる。










( そこにいるのを たしかめさせて )















また書いちゃった(笑
何この神戸編の多さwそしてまたしても(3つとも)入江くんが嬉しそうだ←
琴子誕生日ネタのはずなのにどうしですか?とりあえずいちゃこらが書きたいだけってことでしょうか(聞くな
「ため息」「届く声」と合わせて一気に書きました。
一気に、という割にはすっごく時間がかかっていて、しかもチェックしてません。
本当はもっと時間かけて書きたかったんですけど、なんとか28日に間に合わせたかったんで。
明けなんですよー…私が←
セリフばっかなのはもう何も言わないで下さい^^;



何はともあれ、琴子ハピバ!
地元ラジオにこっそりおめでとうメッセージをお願いするメールを送ったイタイ女は私です!

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コメント:

Happy Birthday!

キレイな夕日が脳内に再生されています。
ステキなお話をありがとうございます。
いつもいつまでもどんな時でも、彼女は彼の味方なんですよね。でも、彼も彼女の一番の味方ですね。ふふっ。
もうすぐ、琴子's Birthday が終わってしまいますね。私も、今日中に、琴子ちゃん、おめでと! を共有させて頂きたくて、コメしました!ふふっ。 のと様、全然イタイなんてありません!ファンはみんな「類友」ですから!笑。
またおじゃまいたします。
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Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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