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ご褒美頂戴

2011.09.25 14:38|短編
ちょっとまたハメを外しているようなお話です。
詳しいことはまた最後に。

途中で「またかよ」と思われるかと思います。
そんな作品です(笑)



  *  *  *



学生である彼女は夏休みだけれども。
旦那様は研修医。

当り前だけれど、お忙しい身分なんです―――。



「…そう、今日も帰れないんだ…忙しいね…」
『働いてるんだから仕方ないだろ』
「わわ、わかってるよ!しょーがないって!」


夏休みを利用して琴子は直樹のもとに来ている。
けれど研修医の彼にそうそう休みがあるわけもなく。
会える時間は帰宅したときのみ。
それに加えて―――医者の仕事の不規則性と急に入る患者の手術などなどにより、なかなか時間が取れない。
電話にて報告を受ける彼女は肩を落とす。


『…ちゃんと勉強してろよ』
「し、してるもん」
『どーだか』
「ひどい!入江くんのばか!」
『頼むから病院には来るなよ』
「うっ…い、行かないもん…」

本当は行きたいけど、と彼女は心の中で呟く。
どうせ彼は忙しいのだし、かまってもらえない。

『早くても明日の夜になると思うから。じゃ』
「あっ、い、入江くん~…」
『なんだよ』
「……な、なんでもない…じゃ、じゃあね!」

彼女は慌てて受話器を置く。
それから、しょんぼりと机に戻った。
そこには広げられた参考書類とノート。
彼女はそれをじっと見下ろした。

「……もうすぐなんだよねぇ」

もうすぐこの問題集が終わる。
それが終わったらぜひともご褒美デートを!と彼女はお願いする気でいるのだけれど――。

「…この忙しさじゃなあ…」

ぷくーっと頬を膨らまして、それからため息。
それから気を取り直して再び彼女は机に向かう。

カリカリとシャーペンの音が静かな部屋に響く。

「ううん、入江くんも頑張ってるんだし、あたしも頑張らなきゃ…」

ぶつぶつと呪文のように繰り返しながら。

「デートは無理でも…よく頑張ったって誉めてもらえるくらい、…頑張んなきゃ…」

ちゃんとここまで終わらして。
頑張ったよ!と彼に胸を張って報告できるように。

「あたしってば、もしかしてすごくえらい?」

自画自賛しながら彼女はむふふと笑う。
そしてふと時計を見る。
彼の帰りは早くても明日の夜。

そう言えば、と彼女は手をぽんと叩いた。
しばらく『あれ』をしばらくやっていない。
ここには彼がいるのだから―――必要ないといえばないのだけれど。

「だけどどうせ入江くんはいないんだもんね、今日は」

彼女はクーラーのスイッチをピーっと押した。






















ガチャ、と玄関の鍵を開ける。
ちゃんと戸締りはしてあるな、と彼は軽くため息をついた。

時間は明け方。
彼は疲れた身体を引きずりながら玄関で靴を脱ぐ。

彼女には帰れるのは早くとも明日の夜と言ったが、急に彼は帰れることになった。
仮眠して病院に残っても良かったのだが、明日がまるまる空くことになったので彼は帰宅することにしたのだった。

しばらくずっと忙しかった。
外来はひっきりなしで、手術は時間どおりに終わらない。
書類の整理に取り掛かれるかと思えばもう当直の時間。
せっかく彼女が神戸に来ているというのに構えないし、彼女がそれを不満げに思っているのもわかっていた。

帰れると決まった時電話しようかとも思ったのだが、彼女を起こすのも悪いと思ったし。
起きて待っていられるのもなんとなく気が引けるので、彼は何も言わず帰宅した。

暗い部屋。
だけど、自分以外の誰かがいる部屋。
それだけで何かが違う。

「…ただいま」

ほぅっと息を吐いて、彼女に届くはずないけれど彼は呟く。
そして部屋の電気を付けた。

机の上には彼女の勉強道具。
簡単に片付けられてある参考書とノート類。
それらをちらりと見て彼は荷物を置き、彼女のいるであろう寝室へ向かった。





すぅすぅと規則正しい寝息。
彼女の長い髪がベッドの上に広がっている。

「いりえ…くぅ~ん…」
「お前もたいがい飽きないな」

どんな夢見てるんだよ、と彼は呟いた。
1人で寝る夜のはずなのに彼女はちゃんと彼のスペースを開けている。
いつもの癖、なのだろう。
彼はふわりと心のどこかが暖かくなる。
忙しくて疲れているのに、家に帰ってきただけで心が安らいだ。

「え…ほんと…ほんと…?」

にへにへと幸せそうな顔をしながら琴子はぶつぶつ言っている。
どうせ彼がしそうも言いそうもないことを妄想して夢に見ているのだろう。

「…ったく」

困った奴だなと思いながら彼が部屋を出ようとしたとき、彼女はくるりと寝がえりを打った。
ぱさりとかけぶとんが動いて、彼女はそれをぎゅうっと抱きしめている。
彼がその音で彼女を振り返り―――そしてその足を止めた。

「…だあいすき…」

むにゃむにゃと彼女が言う。
一番初めに目に飛び込んだのは、その白い脚。
太腿があらわになっていて、かすかな明かりに照らされてより艶やかに映る。

彼女の華奢な身体を包んでいる白いワイシャツ。
それはもちろん、彼のもので―――。



『今日は帰ってこないんだから、これっくらいしてもばれないよねっ!』
彼女はふふんと鼻歌交じりに彼のワイシャツを取り出していた。
クーラーを切って、その姿で勉強などをしていたのだった。

いつかこの別居を始めたばかりの頃、彼女が寂しさを紛らわすためにしていたこの方法。
ただ東京の頃に比べて、こちらの衣服のほうが彼の香りが強く残っているような感じもして、彼女はご機嫌だった。
そして勉強がある程度片付いた後、えへへーと言いながらベッドに横になったのだった。


彼はしばらく彼女をじっと見つめていたが、そっとその手を伸ばす。
彼が乗ったせいで、ベッドがぎしりと揺れる。

その長い指で彼女の首筋をなぞると、ん、と彼女が身じろぐ。
彼のワイシャツでは開きすぎている彼女の襟元。
鎖骨があらわで、そこも彼の指が滑り降りて行く―――。

「…う…ん、」

もう片方の手は彼女の脚に触れた。
逆にするすると上に向かって行く。

彼女の眉が小さく顰めら、ふぇ、と声が小さくこぼれた。
その反応が素直で彼は口元だけで笑う。
彼女はゆっくりとぼんやりと、目を開いていく。

「あ…あれ…入江くん…?」
「よお」
「……?、あれ…どうして…」
「何でお前、ひとの服を勝手に着てんの?」
「……っ!あ!え?ええ?」

彼女はがばっと起きようとしたけれど、すぐに彼に押さえこまれてしまう。
混乱してあちこちを見て、それから彼に視線を戻す。

「あ、あたし丸一日寝ちゃったの?」
「んなわけあるか」
「じゃあ、じゃ、どうして!?」
「早く帰れることになったんだよ」
「そそ、そうなんだ!わーい、嬉しい」
「うぉっ」

がばっと彼女が彼を跳ねのけて、抱きついてくる。
そのせいで彼はその場に座りこんでしまった。
素直すぎる彼女らしい反応に彼は苦笑いする。

「…で、さっきの質問聞いてたか?」
「え?何だっけ?」
「どうしてお前そんな格好してんの?」
「………っ!あ、あわわっえ、えええっ」

きゃあと言いながら彼女は慌てて離れて、かけぶとんをかぶってしまう。
ひっついたり離れたり忙しい。

「琴子」
「ひ、ひぃ、怒らないで…っ」
「とにかくこっちを向け」

彼はため息交じりに言うと、彼女はおずおずと顔を出す。
彼はそれを確認すると、部屋の電気を付けた。

「へあっ」
「お前俺がいないときこんなことしてたのか?」
「ちゃ、ちゃんと勉強してたよ?入江くんが明日まで帰ってこないから…そのぉ」
「俺の服着て何してたの?」

にやりと彼が笑った。

「な、何って…」

ばさりとふとんがはぎとられて、彼と彼女の間の障害物は消える。
え、と彼女が気付いた時には彼の腕の中にいた。

すべすべとしたシャツの上から彼の手が添えられる。
彼女はみるみる耳まで顔を赤く染める。

「い、入江く…」

びくりと彼女の身体が震える。
しゅるしゅると布を滑る音。
彼女の唇から甘い吐息がとぎれがちにこぼれおちる。
彼の口元が意地悪く緩んだ。

「やらしい」
「そっ、そんなんじゃないもん!あ、あたしはただ―――っ…ん」

ただ幸せな気持ちで寝たいだけであって、と言おうと思ったのに。
するすると上がってくる彼の手で、次の言葉がわからなくなってしまう。
彼女は思わず彼の服の裾をぎゅっと掴む。
頬は苺のように染まったまま、必死に声を堪えている。

「夢の中の俺の方が良かった?」

くすくすと彼は言う。
きっと彼女の妄想の彼は、こんなことはしない。
優しくて甘くて、それこそ幼い彼女の理想のような―――物語のような彼になっているはず。
デートをして、好きだよと言って、手をつないで、微笑んで。
でも本物の彼はそうじゃない。そしてそれでも彼女は彼が大好きで―――。

それをわかっていて、彼はそう彼女に尋ねる。

彼女は泣きそうな目で見上げた。
それからその手をそろそろと伸ばして彼の首に回す。
とろんととろけそうな瞳で、彼女は彼を見つめる。

「今の…入江くんのほうが、いい」

羞恥のせいで、彼女の声が震えている。
真っ赤に染まった頬は美味しそうに熟れた果実の様。
そんな彼女に目を細めながら、彼はそっと彼女をベッドに押し倒した。









( ご褒美 あげましょう )












「本物には敵わない」ご褒美ver(神戸編)
入江くんにご褒美編だからこのタイトルです(笑)

またしても、ワイシャツネタです。
…だって好きなんだもん←開き直り
カテゴリ作ったろか、な勢いです!

「またかよ」って思った方…ごめんなさい><

もしかしたらもしかしたら…ワイシャツ琴子が見れるかもしれないんで、嬉しくて突発書きしましたww
描きましょうかと暖かくおっしゃってくれた優しい某様に勝手に捧げます(笑)
ちなみにいらなかったら返品可ですw

どうでもいいけどうちの入江くんはかなり腹黒く、何を考えているのかわかんないです。
こんなにかわいい琴子なのに「かわいい」って言ってあげないんですもの!!
でもこれ以後は言ってあげるかも(笑)彼女のご褒美次第ですね←



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きゃー萌えます!

いや甘い!甘過ぎるこのカップル 可愛い琴子のワイシャツ姿 普通の男子なら鼻血ものです
普通じゃないのが入江君です けどやっぱり可愛いので襲っちゃいますね(#^.^#)
神戸は二人がカップルに戻れる場所ですよね。本当に 理想の二人 文章読みながら ニヤニヤ止まりません。完全に怪しい人物決定です
また 二人のラブラブなお話 よろしくお願いいたします! 不器用な優しさの入江君 素直な天真爛漫な琴子 本当に大好きです

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嘉村のと

Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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