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2011.09.18 00:00|短編
初めて予約投稿というものをしてみる気になりました。
今回の話はだいぶ私の趣味が強くって、重めだからです。

まず、琴子が本当にしおらしい。元気じゃない。
そして入江くんが優しさ2割増しくらい?(微妙)
別人なんですよ相変わらず><
話が暗いし重いし…なんか本当もう私の趣味丸出しで…。

反応がとってもとっても怖いので(ひかれそうで)、おそるおそる更新してみます。
ちなみに長いです。
どこで切ったらいいのかわからなくて、こうなってしまいましたが、携帯でも全部見れるでしょうか?
…それが少し心配です(^^;




―――その痛みはまるで、身体を引き裂かれるようで。






「急患です」

ばたばたと走り回る足音。
その流れに彼女も乗って、走り回っていた。

「先生が第三処置室に入ります、入江さん、準備して、早く!」
「はっ、はい!」

ぴりぴりとした緊張感が辺りを包む。
ただでさえミスが多い彼女は、何度も確認しつつ、準備をして処置室に向かう。



そんな彼女の目に、ふと今の状況にそぐわないものが映った。
ふわふわで茶色で―――これはくまのぬいぐるみ。

視線を動かせば、それをぎゅっと握りしめている少女が立っていた。




















「手術後のバイタルチェック良好です、お疲れさまでした」
「お疲れ様」

術後の書類にサインをして、大きなため息をついた。

「なあ入江」
「何ですか」
「今日琴子ちゃんひどかったみたいじゃないか。途中で追いだしたんだろ、お前」
「ええ、そうですね」
「何かあったの?」
「いつものことじゃないですか」
「そうか?…まあ…お前がそう言うんならそうなんだろうけど」


さすがにドジは日常茶飯事だとしても、彼の奥さんであるのには変わりない。
あまり酷く言うのは憚られて、話しかけた同僚はそのまま去っていった。


彼も医局に戻ろうとエレベーターに足を向けると、再び彼に声をかける人物が現れた。

「先生」

彼が振り返ると、自分より少し年上くらいの男性が立っていた。
そして男性の足元には、くまのぬいぐるみを抱えた少女がいた。

少女は少し眠そうな顔をして、だけれど不安そうに男性を見上げていた。
男性は深々と頭を下げる。




















『いい加減にしろ!琴子』

いつもの彼女じゃ無かった、と今なら彼は思う。

『何をそんなに怖がってるんだ!』

彼の言葉に顔を上げた彼女は、ぼろぼろと涙をこぼした。
これには彼も驚いた。
彼女はそりゃ、ミスが多いけれど。こんなところで泣き出したりしない。
彼の言葉できっといつもの勇気を奮い立たせてくれると思ったのに、彼女に逆効果として現れた。

『…お前、ここを出ろ。いても邪魔なだけだ』

静かに彼がそう言うと彼女は戸惑った後、頷いて出て行った。
他の介助員が彼と彼女を交互に見ている。
そこまで言わなくても、というような空気が辺りに立ち込める。

『続けます』

そんな空気を断ち切るように、彼は目の前の手術に戻る。
彼女に構っている暇は無かった。
患者がそこにいるのだから。
















「…ここにいたのか」

自販機の明かりがぼんやりと照らす、休憩室。
彼女は長椅子に膝を抱えて座っていた。
彼の言葉に顔を上げて、ぎこちない笑顔を浮かべる。

「入江くん、あの、あのね―――」
「成功したよ、手術。あの患者なら大丈夫だ」

彼女がそれを聞いて、目を見開く。
それから力が抜けたように笑顔を浮かべた。

「…そう、良かった」

彼女は足を伸ばして、立ち上がった。

「ごめんね、入江くんに迷惑ばっかりかけて。今日は何だか特にうまくいかなくって、ミスばっかりで―――」
「……」
「だけど、入江くんに『出て行け』って言われてほっとしたんだ、あはは、変なの…」
「…琴子」
「あぁ、あたし詰め所に戻らなきゃ!モトちゃんに怒られちゃう!」

走り出そうとした彼女の腕を、彼が掴む。

「琴子」
「お、お説教なら夜勤終わってから聞くよ。だから今は―――」
「どうして言わない」

彼女は顔を上げる。
ずっと彼の顔を見れなかった。
彼は彼女をまっすぐに真剣な目で見ていた。

「え…?」

怒ってるのだろうか。
だけど―――なんだかいつもと違う―――そんな気が彼女にはした。

「どうして怖かったか、何で言わないんだ」
「…え、あ、はは、どうしてって…いつものことじゃない…」
「違うだろ」

彼が眉をひそめる。
彼女の腕を掴む手に力がこもる。

「俺、お前の旦那なんだけど」
「い…りえく…」
「思い出したんだろ」

彼女の目が大きく見開く。
それから首を横に振った。

「…思い出さないよ、だって、あたしはバカだし、小さかったし、覚えてないんだもん」

彼女は俯いた。
彼は彼女の腕から手を離して、そっとその頬に手を伸ばす。

その手が彼女の頬をそっと撫でたとき、彼女の瞳からぽろりと涙がこぼれて彼の手を濡らした。

「じゃあ、何でこんなに震えてるんだ」
「わかんない」
「どうして泣いてる」
「わかんない…」

彼はふうっとため息をつく。
その涙をそっと指でぬぐってやると、彼女は彼のほうを見上げた。

「あたし、本当に覚えてないんだよ…だけどね…」


彼女の記憶にくまのぬいぐるみが過ぎった。
それをまるでお守りのようにつよく抱きしめていた少女。
何があったかよくわからないまま、父親を見上げていた。

ひたひたと冷たいものが、自分たちの背後に迫ってきているのはわかっていて。
今までと同じではいられないこともなんとなく気付いていて。
でも、いつか帰ってくると、信じていたかったあの日。


「あの子のお母さんが死んじゃったら、って思ったら。怖くて怖くて、…怖くて。頭が真っ白で、どうしていいのかわからなくて、苦しくて辛くて」

彼女は胸に手を当てる。
締め付けられるような痛み。
彼の顔が滲んで見えた。

「だから、…入江くんが助けてくれて、良かった、よ…」

笑ったのに、笑えてなかった。
声は震えて、涙がまたぽろぽろと落ちた。

誰かの痛みを強く感じ取る、優しい彼女のこころ。
あんな哀しい想い、誰にももう感じて欲しくないと思った優しい彼女のこころ。

それを思うと、彼はとても切なかった。

彼女の身体が彼によって抱きしめられる。
押しつけられた白衣に涙の染みが滲んで行く。

暖かくて、優しい、ぬくもりが彼女を包んでいる。
なんて幸せなんだろうと彼女は思う。
こうやって今は―――彼女を抱きしめてくれる暖かい腕がある。

あのとき強く強く抱きしめたぬいぐるみ。
本当は抱きしめて欲しかった。
もう一度。
どうか、ただいま、と言って。


「無理して笑わなくて良い」

彼女の頭が撫でられた。
いつもよりずっと優しい声色で。
抱きしめられているから見えないけれど、今彼はどんな顔をしているのだろうと彼女は思った。




ふっと彼が顔を上げる。
ぱたぱたと足音がこちらに近付いてくる。

「モ、モトちゃんたちかも。あたしがなかなか戻らないから―――」

彼から離れようとした彼女を、彼は制す。
ふっとその唇に指を当てて、何も言うなと目で語る。
え、と彼女が彼を見上げた途端、視界が暗くなる。
唇が重なって、彼女は驚いたけれど、その声も全て飲み込まれていく。

「……ふ、…」

力が抜ける身体を彼の腕が支えている。
彼の舌がゆっくりと彼女の唇をなぞり、そっと奥に入ってくる。
くらくらとしながら彼女はそれを受け入れる。
彼女にはもう足音は聞こえなかった。












目の前には彼がいる。
ぼうっとそれを感じながら、彼女はゆっくり熱のこもった瞳を開く。

「大丈夫か」

そう聞かれて彼女ははっと赤面する。
結婚して何年にもなるのに、キスだけなのに―――彼女は立っていられず彼にしっかり支えられていた。
自分の心のなかに甘いものがいっぱい溢れているのにも気付いている。
仮にも仕事場でこんな、と彼女は今更恥ずかしくなった。

「ご、ごめん」
「別に。俺がやったことだし」

まったく反省していない彼がにやりと笑った。

「え?」
「今のを目撃した桔梗の顔、サイコーだったよ。邪魔だって手を振ったら慌てて逃げて行った」
「えっ、ええ?えええ?モ、モトちゃん来たの??」
「ああ、お前からは見えなかったもんな」
「なな、なんでそんなことするのぉ!恥ずかしいじゃない!」
「今更だろ」
「だっ、だけどさ…」

真っ赤になった琴子が「戻りにくいよ…」とぶつぶつ言っている。
そんな彼女を見て、彼はふっと笑う。

「琴子」
「ん?」
「ほら、来いよ」

再び優しく抱きしめられる。
あったかい腕の中、彼女は今更ドキドキしている自分に気付く。
先程抱きしめられた時は苦しい気持ちがいっぱいでそういう余裕が無かった。
今は頬が熱くて、心臓が高鳴っていて。

「…甘やかしてくれるんだ、入江くん」
「こういうときくらいはな、すぐ気付いてやれなかったから」
「入江くんってすごいね…どうしてわかったの?」
「さあ」

患者の夫と名乗る男性が彼にお礼を言ったとき。
足にしがみついていた少女がおずおずと父親の真似をして頭を下げたとき。

あの彼女が、いつもとは違って不安そうに彼を何度も見ていたことも。
手の震えを必死でこらえてたことも。
その目がゆらゆらと揺れていたことも。

全て、納得がいった。

「本当に覚えてないんだよ、あたし小さかったから」
「…ああ」
「だけどね、信じてたんだ、いつか帰ってくるって…。『死』なんてよく理解できてなかったから」

胸が、痛い。
彼はそう思った。
自分以外の誰かの痛みを、こんなにも強く感じるなんて。

「えへへ、…入江くんにこんな話するのって恥ずかしいな…」
「どうして」
「あたしって、こういうの、似合わないから」
「似合うとかの問題じゃないだろう」
「だって…恥ずかしいんだもん」

笑わないでね、と言って。
笑うかよ、と答える。

思いだしたときは、そうやってこっそりと泣いていたのだろう。
あの笑って怒って喜んで泣いて、いつも感情をあふれさせる彼女が、このことだけは隠れて静かに誰にも見られないように。

「お父さんにも言ったこと無いんだよ…はじめてなんだよ」
「お義父さんを悲しませるから我慢したんだろ」
「……うん…、でもきっとあたしだから―――当時はいっぱいお父さんを困らせたと思うけど」
「そうだな」

2人で目を合わせて、ふっと笑い合った。

「入江くん、大好き」
「知ってるよ」
「ありがとう」
「……ああ」

彼の手が、彼女の顎に添えられた。
その意図に気付いた彼女はまた頬を染める。

「…入江くん」
「詰め所には、戻りにくいんだろ?」

もう少し時間を潰したら?と彼は意地悪な笑みを浮かべる。
彼女は困ったような顔を浮かべたが、すぐに笑顔になった。
そう、この顔。
無理して笑う彼女の笑顔なんて――彼は見たくない。
彼女はいつだってこんな風に、笑っていて欲しい。

「大好きだよ、入江くん」

唇が触れあう瞬間、彼女は静かにもう一度、彼に告げる。




―――悲しみは2人で分け合うと半分になるって本当だったんだ、と彼女は思った。











( あなたの苦しみは わたしの苦しみ )



















趣味に偏っている話です。
琴子スキーさんならだれでも好きだと思う、秋田への訪問話。
お母さんのお話、いいですよね。
いまいちどうしてお亡くなりになったのかわからないですけど…。


入江くんが琴子のことをすごく思いやる姿にすごく感動します。
あぁやっぱり琴子のことすごく大事に思っているのねーーーっというのがもう、素晴らしいですよね><(日本語おかしい)
くそ!なんて格好いいんだ入江くんは!キーー!!またその大事に思っているところをちらりとしか見せないところが憎い!幸せになれよ!←?

お母さんが幼い頃からいないというのに、琴子のあのまっすぐさ。
しかもあの不器用でドジで、ひねくれちゃいそうですけど、あの天真爛漫さ。
おバカだから、という理由で片付けられてしまいそうですが、それってすごいなーと。
苦しかったり辛かったり悲しかったり、そういうことでいっぱい傷付いただろうに、それでも何度も立ち向かえる琴子がやっぱり大好きです。
だけど彼女のピンチには必ず駆けつけてくれる入江くんが素敵なので…今回はそれを目標にしてみました♪…玉砕w
琴子が苦しいと入江くんも苦しいんだよ、ってテーマですw(笑)
本当に私の書く琴子はしおらしくて、泣く割合が多いですね…^^;あひー…

彼が優しさ2割増しなのは、すぐ気付いてあげられなかったことと、医者である限り患者優先なためです。
でも琴子は患者優先である入江くんを信頼している…と思います。そしてそういう彼を誇りに思っていると思います。だからこそ助かったわけだし。
自分のSOSに気付いてほしいなんて言いだしません、助けて欲しいことは彼女ははっきり彼に言うタイプだからかもしれませんが。
どこかこの2人は、背中合わせの関係ですよね!あーもうこの2人大好き!(←しつこい


ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
こんな話で本当に申し訳ありません><;






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コメント:

おはようございます

悲しい事は半分になって嬉しい事は2倍になる… きゃあ いいわぁっ!なんかすごくお互いを想い合っててっ(≧∇≦)きっと行く先に何が待ち受けてようともこの2人なら手を取り合って乗り越えて行けそう♪ほんと理想の夫婦です(^O^) これが沙穂子さんと結婚してたら平穏だろけどこうはいかなかったでしょうねぇ…だって沙穂子さんに足りない所なんてなさそうだからお互いに補い合うなんて関係は成立しそうにないもの(-.-;) 沙穂子さんみたく完ぺきじゃないけどやっぱり直樹には琴子が1番お似合いだわっ(`▽´)o 私もこのツンデレCP大好きです∨見てて幸せになるから(^-^) ほんと琴子の我が背の君が直樹で良かった♪
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嘉村のと

Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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