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HERO(後)

2011.09.10 21:26|短編
後編ですw


   *    *    *





「こ、琴美~、どこに行ったの?」

うるうると涙目になりながら、琴子はやはりうろうろし始めていた。
ちょっと目を逸らしたすきに愛娘が消えてしまったのだ。

「ゆ、誘拐とかされたらどうしよう!」

その前に迷子相談所などに行けばいいのに、そんなことを考える脳も働かないらしい。

「入江くんに相談したいけど…あいにく携帯はロッカーの中で今持ってないし…」

不安そうに涙目であちこちをきょろきょろしている琴子。
もともと童顔でかわいらしい顔つきの琴子は、こうしていると本当に子持ちになんて見えない。
久々のお出かけ!ということで購入したかわいらしいビキニもそれを手伝っている。
そして、ちらちらと男の視線が向けられていることなど、本人は全く気付かない。
胸の前で手を握り締めながらその頼りない肩を震わせる姿は、誰から見ても隙だらけだ。


口笛がひゅうっと鳴らされて、彼女は思わずそちらを向いてしまった。

「ねえ、さっきからずっと同じとこうろうろしてるよね」
「えっ」

同じところだったの?と彼女はあたふたと見回す。

「どうしたの?友達とはぐれたの?一緒に探してあげようか」
「あ…」

それは大変ありがたい申し出だった。
だけどさすがの琴子もそんなことをこの見知らぬ人にお願いするわけもいかない。

「だ、大丈夫です」
「そう?」

にやにやと男は彼女を見ている。
うるんだ瞳。二つにまとめている柔らかそうな髪。白くて華奢な細い肩、豊満とは言えなくてもちゃんとあるふくらみ。余分の肉のないすっきりとしたお腹。
だんだんと視線を下ろしていく。
自分のことで考えがいっぱいな琴子はそんないかがわしい視線など気付かない。

「もしかしたら見てるかもしれないから、はぐれたのがどんな子か教えてくれる?」
「え、えっと…その、ちっさい子なんですけど、あたしみたいに二つに髪を結ってて…」
「身長が小さい子?」
「あ、そうなんですけど、いえ、そういう意味だけじゃなくて、年は4つで」
「………え?」
「ピンク色の水着を着てて…」

目の前の男は信じられないような顔で彼女を見た。
まさか、見た目だけなら全然子持ちだと思えないくらい幼い顔立ちの彼女。
うそだろ、と思っていると、ばたばたとプールサイドを駆ける足音がして―――彼は思い切りつんのめる。
背後に結構な勢いで衝撃を受けたからだった。

「ままに何するのーーーっ!!」
「琴美!!」
「まま、だいじょうぶ?琴美がたすけに来たよ!」
「ち、違うのよ、琴美。このお兄さんはね琴美を探してたママを見かねて、親切で声をかけてくれただけなの」

あたふたと琴美をその男から引き離す琴子。
琴美はそんな母親を不満げに見る。
善意からだと信じ切っている琴子より、よっぽど思惑を理解しているらしい。

「ぶ、無事に見つかったようで良かった…ですね」

苦笑いを浮かべながら男は言った。
無事で無かったのは彼のようだが。

「はい、ありがとうございます」

にっこりと琴子は笑う。
ほわ、とした笑顔。
彼は思わずそれに見とれて、立ち去ろうとした足を止めてしまう。

「ほら、琴美もちゃんと謝りなさい」
「むぅーやだあ」
「もう、駄目よそんなんじゃあ」

眉をひそめて、口をとがらせて、わが子を叱る母親。
こんなかわいらしい母親がいるだろうか。

「あ、あの―――」
「はい?」

琴子が琴美から視線を動かして、彼を見る。
琴美が本当に嫌そうな顔を浮かべる。
ただの親切でこんなに顔を赤らめるはずがない。
きっ、と睨むものの、鈍い琴子が全く理解していないからどうしようもない。

―――どうしてぱぱの場合はうまくいくのに、ままの場合はうまくいかないの?!


「琴子」


琴子の髪が揺れる。
その声を聞くと、彼女は誰よりも早く反応を示す。

ぱあっと表情が明るくなる。


「入江くん!」

















「どうして琴美、怒ってるの?」
「ままのばかっ」
「え?どうして?ねえ、…ねえ入江くん、どうして?」
「さあ、知らない」
「琴美、ママが何か悪いことした?ねえ…ねえってば」

琴美はずっと頬をふくらましたまま、琴子を睨んでいる。
何が原因か全くわかっていない琴子はおろおろするばかりだ。
せっかく3人合流できたのに、琴美がこの調子で、琴子はしょんぼりとうなだれてしまった。

直樹はため息をついて、くしゃりと琴美の頭を撫でてやる。

「ぱぱ」
「あまりママを困らせるなよ」
「わかってるもん…ままが悪いわけじゃないもん…」

親切にしてくれたひとにはお礼を言うのは当り前。
琴美は唇を尖らせて、小声で父親に言う。

「…ぱぱじゃないとだめなんだね…」
「何が?」
「ままをまもるのは、ぱぱじゃないとだめなんだなっておもったの」
「……」
「あたしだけじゃ追っ払えないんだもん…」

直樹が現れるとすぐに男は去って行った。
それは彼の醸し出す冷たい空気のせいか、はたまたすんなり諦めたのか。
それとも彼に嬉しそうに微笑む彼女に、立ち入れないものを感じたのか。
その答えは幼い琴美にわかるはずもないのだが。

「琴美」
「ん…」
「これはママには内緒だけど」

愛娘の耳元に口を寄せて、彼は小さな声で告げる。
琴美は目をぱっちり見開いて、直樹を見る。

「……わかった!いいよ!」
「そうか」

ふ、と彼は優しい笑顔を見せて、ちらりとしょんぼりとしている琴子のほうを見る。
こくんと頷いた賢い娘は、落ち込んだ母親を元気にさせるために彼女のもとへ向かって行った。









『 最後にママを守るのはパパの役目だから―――それだけは取らないでもらえるか? 』
















( いつまでも たったひとりのための 王子様でいてやるよ )













初めて琴美ちゃんを書きました。本当に4つか?←今更
相変わらず入江くんの出番は少ないです、もうここまで来たら、仕様ですとしか言いようがない(諦)
琴美ちゃんの牽制を見守っていたらしいですよ。早く動けよw
本当はしっかりきっかり嫉妬してたりするんです。書かなかっただけで(書けなかったとも言う)
助ける役目を琴美に譲ったはいいものの、「なんだよまだ立ち去らねえのかよ(怒)」と思いながら彼は登場するのです。

「パパはママの王子様だから、しょーがないから真打はパパに全面的に譲ってあげる!」By琴美


はーww幸せな3人、大好き!!><





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コメント:

カワイイ救世主!

カワイイお話をありがとうございます。
救世主琴美ちゃん、カワイイですね!
でも、パパもママも守らないと行けないから休む暇がないですね笑。無自覚天然ママを守りきれないと拗ねられちゃったら、そりゃあパパは、愛妻にも愛娘にもメロメロですよねぇ笑。「いつまでもたった一人のための王子様でいてやる」なんて言われてみたいもんです。てへっ!笑
次作も楽しみに待っています。

お久しぶりです♪

きっと琴美ちゃんに気付かれないうちにドス黒オーラーを放出して追っ払ったに違いない(笑) 琴美ちゃんが睨んでもどうしたってかわゆいからねぇ やっぱ直樹パパの睨みじゃなくちゃ… いいなぁ∨ 結婚して何年経っても「守ってやりたい」だなんて うらやましいっっ ハンカチ噛んじゃうから(笑) うちのダンナなんて何かあったら守るどころか私を盾にするわね絶対(`ヘ´) 直樹みたいなダンナ どっかに転がってないかちら?そしたら喜んで交換すんだけどぉ←私も大概(-.-;)
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嘉村のと

Author:嘉村のと
素敵なイタキス二次創作に憧れて、うっかり立ち上げてみたブログです。
イリコトってすごく難しいのですが、「別人だよ」と言いながらもがんばって妄想世界へこきだしていこうかと思います。

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